バス車両工事の事例 case - Bus Modification / maintenance

三重交通(株) 路面電車型バス車両改造工事

納入:2013年7月
施工:交通事業本部 自動車工事部

「チンチン!」ドアが閉まるとベルの心地よい音が乗客をレトロな世界へいざないます。三重いすゞ自動車(株)に路面電車型のバス(神(しん)都(と)バス)を納車しました。これは三重県にある伊勢神宮の式年遷宮を記念して製作されたバスで、2013年7月3日から運行を開始しています。

2012年8月、三重いすゞ自動車より、「路面電車の形をしたバスが作れないだろうか」と相談を受けたことがこのバスの始まりです。
改造対象となる車両は大型路線バスで、このような改造は国内では例がなく、限られた寸法の中でいかに路面電車を感じさせる車両を製作するか、三重いすゞ自動車(株)、エンドユーザーである三重交通(株)と検討が重ねられました。
主な改造箇所として、エクステリアでは路面電車特有の深い丸屋根、その上部の集電ポール、ガーランド型ベンチレーター、窓上下のウィンドシル・ヘッダーと呼ばれる帯、窓柱、窓枠等いかに電車の「顔」にするか部員一人ひとりがアイデアを出し合いました。特にウインドシルにリベットを複数取り付け、より路面電車のイメージに近づける作業ですが、少しでも車幅の規定をオーバーするとナンバーが取得できないので、緻密な計算を基に作業を行いました。
インテリアでは、こちらも法規的制約の中で三方型ロングシート、グローブ型照明、真ちゅう製の握り棒、本皮製のつり革、木調の内装など当時を感じてもらえるアイデアがたくさん詰まっています。路面電車特有の「チンチン!」という音は、連続してベルを打つ回路を考え、電装品メーカーと何度も打ち合わせを重ねた結果、再現が可能となりました。
見た目はレトロですが、最先端の技術も満載です。3次元造形(FRP)、接着技術、新素材の活用、グラデーションの入ったステッカーなど、実は最先端のバスなのです。
今回の工事は随所に当社のアイデアや技術が盛り込まれ、三重交通(株)の路面電車型バス復元への思いと、各関係者のもの作りに掛ける情熱が感じられる仕上がりになりました。

お客さまの声

弊社の要望が細部に至るまで忠実に作り込まれており、技術力の高さを実感しました。
真ちゅう製部品の光沢を新車の状態で保つことに苦労しました。

車内外とも特に不具合は発生していません。
製作していただいた車両についての質問に対し、迅速・丁寧にお答えいただき感謝しています。